ようやく、全てが終わった。
“セカンド”などという性質の悪い冗談から命名された彼らは、もうここから脱出を終えただろう。
シリウスからの呪縛から解放されたその先には、限りない自由が待っている。
しかし、自由とは必ずしも良いものばかりをもたらすものではない。
時には冷たく吹き付けてくる事もある。
けれど、あの三人ならば大丈夫だ。
既にこの世の悪夢は見尽くしたのだから。
爆発まで、残り数十秒。
だけど、僕はやけに気持ちが晴々としていた。
死への恐怖は全くなかった。
あいつの元に逝くから?
いや、あいつは寂しがり屋だったけれど、僕が傍に向かうのを望んではいない。
五年前に、この命は捨てたものと決意したから?
いや、あの時に決めた決意は違う。
“必ず生き残る”
そんな決意だ。
だが、その決意は、現実という壁の前にもろくも崩れ去り。
そして僕は、妹との約束の元、生ける屍と化した。
けれど、今日まで生きてきた事は少しも後悔しない。
あの日、自らの命を断っていれば、僕は彼らをシリウスという名の呪縛から救えなかっただろう。
生きてきた事に、少しも後悔はない。
だからこそ、今もこうして晴々とした心境でいるのだろう。
いや。
一つも後悔がない訳でもない。
そう、僕は―――。
「ごめんな、ラン……。お兄ちゃん、また約束守れなかった……」
そして。
僕の視界を目映い光が包み込んだ。
BREAK