「ねえ、マスター」
「なんだい?」
「どうしてわざわざ危ない所に行こうとするの? 私、マスターに何かあったら……」
と、ディスプレイの中で表情に暗い影を落とす。
「心配するな、RR。僕だって、自分の身の守り方ぐらいは心得ているさ」
「でも、わざわざ政府とかシリウスとかに関わる必要なんてないじゃない」
「関わらなくちゃいけない時だってあるのさ」
「どういう時?」
「RRはどういう時だと思う?」
問答を楽しむかのように、ジェミニは足を組み直して微笑する。
「私は、マスターのためならなんだってするよ?」
「そういう事だ」
一体何が言いたいのだろう?
はて、とRRは首をかしげる。
「ぶう。なあんか、うまく言い包められたみたい」
むくれるRRに、ジェミニは微苦笑する。
「僕はね、あの三人を助けてやりたいのさ」
「どうして? シリウスの人なのに」
あんな人達なんかどうだっていい。そんな穏やかならぬ表情をRRは浮かべる。
「彼らは、本来はシリウスとは無縁なのさ。だけど、こんな事をしなくてはならない理由があるんだ」
「理由?」
「RRは僕の事をどう思ってる?」
「大好き」
満面の笑み。
だが、それを受け止めるジェミニの表情は、どこか陰りがあった。
「でもね、それにはそうなる理由があるんだよ」
「??」
不思議そうな表情のRR。
しかし、ジェミニは何も言わず、ただ意味深に微笑むだけだった。
「フフ、まあ分からないだろうけどね」
「ぶう」
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