暗い暗い海の底で、私はこんこんと眠っていた。
私は誰?
わたしはだれ?
ワタシハダレ?
そんな意識の自問に、私の体は電脳の海の底から引き上げられる。
あれ? 私は……
私の名前は―――。
RR。
誰が呼んだ訳でもなく、ただ心の奥にそう刻み込まれていた。
私は誰?
私は何?
私は誰?
私は何?
自分が何者なのか分からない不安感。
しかし、すぐさまその不安感は別の感情に塗り潰される。
それは、飽くなき好奇心。
胸が躍る、心地良い感覚。
答えはどこ?
見渡した周囲。
そこには、数え切れないほど、無数の窓、窓、窓。
この窓のどれかが、私の求めるモノに続いている。
なんとなく私はそう感じた。
さあ、早く出かけよう。
私が何者なのか。
この電脳の海からそれを見つけ出すため。
最初の窓へ、私は身を躍らせる。
StarT