BACK
運命なのかも知れない。
その、突然の幸運を現すのに、俺はそんな陳腐な言葉しか思いつかなかった。
誰かが仕組んでいた訳ではない。
けど、そうとしか思えないほど、今夜は何もかもがうまく出来すぎていた。
時刻は、もう午後八時を回っただろうか。
北斗の夜は短く、既に通りに並ぶ店々の中には営業を終え閉めてしまったものが珍しくはない。
その晩、俺は酷く焦っていた。普段ならば、もういつものように爛華飯店に向かっているのだが、今日ばかりはいささか勝手が違っていたからだ。
まずい……もうこんな時間だ。
北斗の中心地に建つ、大時計台。その長針が頂の十二を過ぎてしまった。短針は七から八へと移り変わっている。
何故、こんなにも遅くなってしまったのか。
北斗に所属する人間は、街の中では特別な場合を除いて迂闊に自らの力を使ってはいけない事になっている。北斗の戦闘術はどれも凄まじい破壊力があるため、独断で用いるのはあまりに危険だからだ。自分の力は自分でトレーニングを積んでつけたものだけれど、それを使うには上の人の許可が必要なのである。おかしな話だが、そういう規律を作り厳守させる事で北斗の治安は守られてきたのだから破る訳にはいかない。
北斗街内で、自己の判断で全力を出していい場合は三つある。
一つ。自分の身を守る時。これは当然の事だ。相手が自分を殺しに来ているというのに、禁止されているからといってみすみすやられてしまっては意味がない。北斗がこれまで一定の治安を保つ事が出来た要因には、周囲に与える北斗という常勝集団の恐怖も大きく関係しているのだ。噛み付いたら殺される。そう思わせておけば、まず半端な人間は北斗に近づこうとはしない。
二つ。街や非戦闘員を防衛する場合。北斗とは治安を維持するための機関だ。もし自分の判断で治安が乱されると思ったら、いちいち攻撃承認を待たずとも己の裁量で力を出していいのである。
三つ。街の極北に位置する、一キロメートル四方の廃墟街。そこは戦闘解放区と呼ばれ、唯一外敵がなくとも力を出して良い場所となっている。戦闘解放区は、いわゆるバトルホリックと呼ばれる戦闘中毒者が数多く潜伏しており、当然の事ながら北斗の戒律も行き届かぬ無法地帯、足を踏み入れるならばそれなりの実力と覚悟が必要になる。街の中にそんな物騒な場所が作られた理由は、力を拘束される事で蓄積された不満を取り除く事と、真剣勝負によって切磋琢磨する事だ。全力のぶつかりあい、死線を踏み越えるか否かの瀬戸際を克服していく事で、短期間の内に戦力を増強する事が目的だったのだろうが、今では異常者の巣窟と化している。こんな伏魔殿を生み出してしまったのは、北斗総括部の大きな誤算だ。
話を戻そう。
今夜の大遅刻とでも言うべきこれは、その戦闘解放区が関係する。
先日、とある犯罪者が件の戦闘解放区に逃げ込んだという知らせが北斗総括部に入った。なんでも、精霊術法を乱用し略奪と虐殺の限りを尽くした凶悪な男らしい。規律の力も及ばず、討伐自体も危険が付きまとう戦闘解放区は、彼のような人間が潜伏するにはうってつけの場所である。そして、その犯罪者の捕縛命令が総括部から夜叉に降りた。
それはいい。
問題は、何故かレジェイドが自分の他に連れて行く数名のアシストの一人に、あろう事か俺を指名したのだ。他の人間は五年以上の熟練者。しかし俺は、まだ二年程度の駆け出しだ。実力差が圧倒的に開いている訳ではないし、この任務を任されても完遂する自信はある。だが、周囲からの俺の評価は経験不足というものだ。だから今回のような任務には適さないと思うのだけれど。
一体どうして俺が?
それを知らされたのは、夜叉訓練所で朝のミーティングが行われていた時。俺は周囲の耳もあり、極力今夜彼女に繋がるような言葉を避け、ただ率直に、どうして俺のような未熟者を選ぶのか考え直せという気持ちを暗に含めてレジェイドに訊ねた。すると、
最近は実戦をやっていないだろ?
そうレジェイドは答えた。たったそれだけの事。レジェイドにしてみれば、単に俺が最近実戦から離れていたがたまたま手頃な案件が来たから選んだだけなのである。俺が毎週土曜日、爛華飯店に行く事をレジェイドは知っていたが、それと今回のこれとは関係はないと思う。レジェイドはそんな嫌がらせをする人間ではない。経験の薄い俺に経験を積ませようとするレジェイドなりの気づかいは良いのだが、申し訳ないが少なくとも今日の俺にとっては迷惑なだけでしかない。訓練が終わったらすぐさま爛華飯店に行こうと画策していたというのに。
後でこっそりそれをレジェイドに言って、俺だけ早目に切り上げさせてもらう事を考えた。でも、それはせっかくのレジェイドの気づかいを反故にする事になってしまう。俺は強くなるために夜叉に入り、特別にレジェイドから訓練を受けている。それを私情でおろそかにするのはあってはならない事だ。
そんな訳で、俺は渋々承諾するしかなかった。
今日は運が悪い。そう思わずにはいられなかった。しかし、まだ絶望するには早い。作戦はミーティングを終えた昼前から行われる。だから何とか夕方までに終わらせる事が出来れば、予定通り爛華飯店に向かう事が出来る。
戦闘解放区に向かうなり、俺はとにかく無我夢中で犯人を探して駆けずり回った。だが、邪念があったせいだろう。物の見事に空回りを繰り返し、ミーティングで立てた予定を崩すばかりか大幅な時間超過までしてしまった。結局、犯人の捕縛には本当につい先ほどまでかかってしまった。それで現在、途中で宿舎に寄らず戦闘解放区から直接真南にある爛華飯店に向かっているのである。
閑散とする歩道を疾と駆ける俺。レジェイドに散々無理難題を申し付けられて鍛えられたため、体力には自信があった。しかし焦りが呼吸を乱しているため体力の消耗がいつもより激しい。それでも立ち止まる暇は俺にはない。少しでも早く向かわなければ。
俺の頭にテュリアスがしがみつき、はふ、と小さなあくびをした。別にそんなに急がなくても。そうテュリアスは言うが、俺には急がなくてはならない理由がある。爛華飯店の閉店時刻は午後九時半。まだまだ時間的な余裕がある事はある。だが、あの彼女の勤務時間が何時までなのか分からないからだ。もしかするともう帰ってしまっているかもしれない。そうなると、また一週間逢えなくなる。物理的拘束がある訳ではないが、なんとなく土曜の夜でなければ行くのはおかしいような気がする。土曜日に行く、という事実が習慣化しているせいだ。他の日に行くと、向こうにも変な風に思われる気がしてしまう。
爛華飯店は北斗の南端に位置している。戦闘解放区とは正反対の方向だ。普通に走っても十分ないし二十分はかかる距離。普段ならさほどでもないその時間も、気が遠くなるほどの長さに思う。
感覚時間で、もう何時間も経過したような気がする。だが、大時計台の短針が四を過ぎようとする頃、ようやく俺は爛華飯店に到着した。
―――と。
「あれ?」
不意に店の中からガラスの割れる音が聞こえてきた。
どうしたのだろう?
俺はそんな疑問を抱くよりも先に店の中へ飛び込んだ。
「なんだと、コラ! テメエ、調子乗ってんじゃねーぞ!」
「やんのかコラァ! ブッ殺されてえようだな!!」
そして、まず目の前に飛び込んできたのは。店の真ん中でテーブルを引っ繰り返し、お互いの襟元を掴んで睨み合う二人の男だった。二人の呂律は酷くて御世辞にも聞けたものでなく、不自然に紅潮した顔からも相当量の酒を呑んで酔っている事が分かった。
ったく……。
俺は二人に対して深い苛立ちを隠せなかった。俺は毎週ここへ楽しみにして来ているというのに、目の前の二人によって汚された気がしたからだ。そっと頭の上に張り付いていたテュリアスを剥がして上着の中に入れる。緊迫したこの状況で、テュリアスにじゃれつかれ、更に空気を混沌とさせる訳にはいかない。
「おい」
俺は二人にずいっと詰め寄って、意識した強い口調でそう言い放つ。
「迷惑だから、続きは外でやってくれ」
じろっと視線を俺に向ける二人。だがその表情は、俺を馬鹿にしているものだった。
「うるせえ、このガキが。引っ込んでろ」
「首を突っ込むんじゃねえ。ケガしたくなきゃな」
自分の容姿がどれだけ迫力に欠けるかは知っているが、こう取り付くしまもないのは面倒なものである。レジェイドだったら、ビシッと睨みをきかせるだけで退散させられるのだが。経験不足の自分には、まだ見えない迫が足りない。
しょうがない。こういうのはあまり好きじゃないが……。
「この店、一体なんなのか知ってるのか?」
「はあ? それがどうしたってんだよ」
「この店はな、夜叉との専属契約を結んでいる。その営業を妨害するならば、こっちもただで済ます訳には行かない」
俺は自らの制服に刺繍された『夜叉』の二文字を示す。
北斗において、十二衆の名は恐ろしいほどの影響力を持つ。籍を置いているだけでも人から畏敬されるのだ。名前には大きな後光効果がある。
だが。
「フン……だからなんだってんだ! 指図するんじゃねえ!」
俺がそんな風に見えないからなのか、もしくは酒に酔って気が大きくなっているのか。一応、後者と受け取っておく。男達はまるでこの乱痴気騒ぎを止めようとする気配が感じられない。北斗の街には一般人と北斗に属する人間が等しく住んでいるが、一般人は決して北斗の人間と事を構えようとはしない。それは北斗がこの街の治安にどれだけ貢献し、そしてその強大な力の程を知っているからだ。
北斗にある諸流派の戦闘術には、精霊術法や魔術を用いた流派が幾つかある。そのため、見た目や年齢からはとても想像できない力を持つ人間は大勢いる。ルテラだってその一人だ。だから、たとえそれが二回り以上も歳が下の子供だとしても、北斗の人間ならば決して敬意や畏敬といった感情を欠いたりはしない。
これらの事実と照らし合わせた結果。この二人は俺が伊達酔狂でこんな格好をしていると思っているものと判断した。もしも本当に俺が北斗の人間であると冷静な思考力で認識していれば、こんな横柄な態度を取れるはずがない。
「大人しく帰れば今回は見逃す」
「ガキが……吹きやがって!」
突然、右の男が襟から手を離し、俺に向かって殴りかかってきた。
大振で緩慢な動作。
俺はその動作の一挙一動を冷静に見つめていた。さして驚くほどのものでもない。男は酒に酔った単なる一般人。だが俺は、夜叉で徹底的に鍛え上げられた人間だ。この程度の攻撃など恐れる必要はまるで皆無だ。俺の受けている訓練は全て、己の生き死にのかかった実戦を想定したものなのだから。
その緩慢な攻撃を、俺はすっと手を伸ばして手のひらに受け止めた。じん、と緩い衝撃が手に平を抜けていく。
「な……」
唖然とした表情で男は受け止められた自分の拳を見ている。夜叉に属する俺にとってはなんて事はないのだが、一般人にはまるで魔法でも使ったかのように思えるのだろう。
「今度は警告する。今すぐ、出て行け」
じろっ、と出来る限り気迫を込めた視線を二人にぶつける。そして、ぎりぎりと受け止めた拳を握り締めた。途端に二人の、特に俺に拳を潰されんばかりに握られている男は顔色を変えた。酔いで紅潮していた顔が嘘のように色を失っていく。
「チッ……くそ」
そして。
二人はそんなありきたりな捨てゼリフを残し、まるで逃げるように店を後にした。残されたのは、喧騒を失った店内の静寂。
と。
バタバタと音を立ててカウンターの奥から、何故かおう形をした中華なべを構えて一人の男が飛び出してきた。その油汚れが染み付いた前掛けから察するに、店の料理人といったところだろう。
「お? もしかしてお前さんが追っ払ってくれたのか?」
男は浮かべていた険しい表情を、俺の顔を見るなり氷が溶けるように緩めた。
「こら、アンタ! 北斗の人になんて口をきくんだい!」
直後、その横から一人の女が彼の頭を調理器具のおたまで殴りつけた。痛ェ、と悲鳴を上げながら殴られた部分を押さえる彼。
「ま、まあ……一応」
別に大した事をした訳じゃない。それにあれは、物事がうまくいかなかった苛立ちをぶつけた八つ当たりのようなものなのだ。本当に感謝されるいわれはないのに。俺は少し戸惑う。
「本当にありがとうございます。この間も専属契約を戴けましたし、夜叉にはお世話になりっ放しで」
「いえ、あの……はい」
専属契約の件は、別に俺が関与したから相成った訳じゃない。けれど一般人にとっては、もう夜叉に関係する人間全てのおかげのように思えるのだろう。俺はあまりこういうのには慣れていないため、急に居辛くなってきた。
今回は適当に濁して場を後にしようか?
繰り返される謝辞に辟易してきた俺は、いつの間にかそんな事すら本気で考え始めた。店内の様子を見る限り、もう店には客もほとんどいない。ピーク時にいた数名の従業員の気配も感じられない事から、このまま何事もなく閉店までゆったりとしていそうだ。おそらくあの彼女ももう帰ってしまっただろう。だったら、別に長居をしても仕方がない。夕飯は帰りに何か買っても良い訳だし。
と、
「リュネス! ちょっとこっちに来なさい! あなたもちゃんとお礼を言うの!」
彼女はカウンターの奥に向かってそう叫んだ。まだ誰かいるのだろうか。俺はふとそちらへ視線を向ける。
「は、はい!」
カウンターの奥からすぐに慌てた風な返事が返ってくる。そしてバタバタと慌しい音がこちらに向かって来た。
その時だ。
―――え?
俺は思わずその場に固まってしまった。
「あ、あの、どうもありがとう……ございました」
慌ててやってきた彼女は俺の前に立ち、そううやうやしく一礼する。北斗の人間を前に緊張があるのだろうか、うつむき加減でおどおどとした様子だ。仕草もどこかぎこちなく、声の端も震えている。
今、リュネスと呼ばれた彼女。
肩先ほどまで伸びたブラウン髪。大きく印象的な、同じブラウンの瞳。小柄で肩幅などは抱き締めたらすぐに壊れてしまいそうな……彼女。
三ヶ月以上も、ずっと思い続けてきた彼女。
突然の事で、俺は思わず頭の中が真っ白になってしまった。ただ、平素の表情を維持するだけで精一杯だった。頭の中で普段は整理されている知識とか自我とかが、パンッとはじけてそこいら中に散らばりない交ぜとなってしまう。俺は表情を崩さないだけの理性を何とか保ちながら、散り散りバラバラになってしまったそれらをかき集めて整理し始める。
だが、
「いや、その……。俺、シャルト」
彼女の名前がリュネスであると知った喜びがあったからだろうか。俺は唐突にそんな事を口にしてしまった。まだ頭の中が整理しきれていないにも関わらず、口から飛び出したその言葉。何の前後の繋がりもなく、ただ突発的に飛び出しただけのそれは、口にしてから数秒の間が経過してからようやく、その不自然さに気がついた。もう、行動という行動が暴走してしまっている。すっかり冷静さを失ってしまった俺は、自然と自らを萎縮させていった。
「シャルト……さんですか?」
思った通り、三人とも不思議そうな表情を浮かべた。その理由は二つ。俺がどうしてこの状況で訊ねられていない自分の名前を言ったのかという事と、そして―――。
「こんな事を言っちゃなんだが……まるで女みたいな名前だな?」
そう男はストレートに疑問を口にした。そして、すかさず横から頭をおたまで殴られる。
「女……には見えそうで見えなくもないようだけどさ。でも男でしょう?」
僅かに曲がってしまった柄を直しながら問う彼女の疑問は無理もない。俺のシャルトという名前は本来女性の名前なのだ。無論、俺はれっきとした男である。俺は男でありながら女の名を持っているのだ。
「一応は。その、生まれた所の習慣で」
「なるほど。でもあんまり違和感もないよ」
そう愉快そうに笑う二人。リュネスはやや困惑気味の表情だ。
そういう言葉が結構傷つくんだが。俺には男はこうあるべきな理想像があって、まるでそれを否定されたかのように思ってしまうのである。
「っと。立ち話もなんだね。何か食べに来たんだよね? じゃあちょっと待って。今用意させるから。ほら、アンタ! グズグズしてないの!」
バシッ、と男の尻を勢い良く叩く彼女。
この二人は、彼女、リュネスの両親なのだろうか? おたまでしきりに夫らしい男を叩いていた彼女、体型は少々太めだが、髪も瞳も同じブラウンだ。リュネスの母親だったとしても違和感はないだろう。ただ、おとなしいリュネスとは対照的に、あまりに騒々しい性格のようだ。
「あ、そうそう。リュネス、出来るまでの間、お話し相手にでもなってあげなさい」
と、その時。
男を小突きながらカウンターの奥へ引き返そうとしたリュネスの母親は、突然振り返ってそんな事を言い放った。
は……い?
せっかく整理がつき始めていた頭の中が、再び爆発を起こしかけた。
なんだ、この展開。あまりに出来すぎているというか、俺がほんのり抱く理想的なシチュエーションの更に先を行くような、何か物凄い力、もしくは黒幕の手引きがあるとしか思えない状況だ。確かに今まで話す事も出来ず遠くから見ているだけだった俺にとって、これ以上考えられない好機である。本当に理想中の理想的な展開。だが出来過ぎている事がどこか非現実的で恐さも同時に覚える。
「あ、あの……では、お席に」
と。リュネスの奥まった声に俺はハッと我を取り戻す。そうだ、ほうけている場合ではない。このチャンスを逃してしまったら、もうおしまいだ。今こそレジェイドの教えを総動員するべきだ。
……っと、まずは名前はクリアしたから、えっと……。
「あ、ああ……」
そして返した返事は、なんとも素っ気無い吐き捨てるようなものだった。
もっと愛想良く出来ないのか? 自分自身へそう叱咤せずにはいられない。今ので印象を悪くしてしまったのではないだろうか? もう嫌われているのではないのだろうか? 理想的な状況が巡ってきた事に喜ぶ反面、何気ない一挙一動も及ぼす影響が気になってしまい、恐怖や不安が次々と湧き起こる。
リュネスに先導されて奥の席へ向かう。
俺は前を行くリュネスの小さな背中を見ながら、ただ湧き起こる不安を抑えるだけで精一杯だった。なんら違和感なく会話の出来るチャンス。しかし、その会話自体をうまくこなせるかどうかの自信がない。期待感と恐怖。相克するそれらに板挟みの俺は、嫌な動悸に胸を苛まれ、繰り返し乾いた唾を飲み込む。
それはあまりに唐突な、幸運過ぎる幸運。この幸運を生かす事が出来るかどうか。全ての命運は、リュネスとの会話にかかっている訳で……。
ふと、俺は今になって大事な事を思い出した。
これまでに俺は、同年代の女の子とまともに話した事がない。
TO BE CONTINUED...