アオラレ
遅刻で焦っていたレイチェルは、高速道路で渋滞に遭ってしまい苛立ちを募らせる。その後青信号の前で停車を続けるトラックに感情的になり、クラクションを鳴らしながら追い越した。だがトラックの男はレイチェルの車の隣に寄せてきて、今の行為について問い詰める。互いに謝罪して無かったことにしようと男は提案してくるが、レイチェルはそれを突っぱねた。すると男は態度を豹変させ、レイチェルの車に対して危険な煽り運転を始める。
主演はラッセル・クロウ。一時期話題になり今もなお社会問題の一つとして取り沙汰される煽り運転を題材にしたスリラー映画。こういったカーチェイスものでは「激突」なんかを思い出す世代ですが、本作は追いかけてくる犯人は序盤から明確に人物像が描かれます。煽り運転の理不尽さと恐怖が全面に押し出された宣伝ですが、内容的には人生に行き詰まった男が冷酷な殺人鬼と化して主人公をあらゆる手段で追い詰めていくという内容です。この時点でダサい邦題の意図が見えちゃうのが何とも。
この手の話では可愛そうな主人公が理不尽な目に遭うというのがお決まりなんだけれど、自業自得とまでは言えないものの主人公に一切の瑕疵が無いと言い切れません。結果論で言えば序盤に最初に謝った犯人に従い自分も謝ってしまえば当面の危険は回避できた訳で。作中には事件現場を動画撮影したり、ながら運転をしたり、如何にも現代的な身勝手な人間が結構出てきます。主人公もそんな中の一人で、犯人もまたそんな中の特別非道な部類での一人という印象を受けました。他人には無関心なくせに、いざ自分に矛先が向くと感情的になって自分を正当化しようとする。現代の闇とも言えるようなテーマ性を感じました。
オススメ度は4+。パワーにインテリジェンスの加わったラッセル・クロウの恐ろしさはなかなか見応えがあります。また最近の世情や人心がよく反映された世界観は抜群です。
Posted: 5 月 29th, 2021 under 2021, 映画.
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