9人の翻訳家 囚われたベストセラー
ベストセラー小説のデダリュス、その最終巻の出版が来春と決まった。世界同時に9ヶ国語に翻訳して出版するため、出版社は9人の翻訳家を集める。彼らは豪邸の地下に監禁され、常に監視されながらの翻訳作業を強いられた。流出を恐れての事だったが、何故か冒頭10ページがネットに流出し、これ以上流出させたくなければ期日までに500万ユーロを振り込めと脅迫文が届く。ランベールは9人の誰かが犯人と確信していたが、肝心の手段が検討もつかなかった。そしてランベールは強硬な手段へ出る。
「インフェルノ」の出版時のエピソードから生まれたというミステリー映画。
未出版のベストセラー小説の最新作の海賊版流出を巡る身代金事件、という出だしの作品でしたが。実際には単なる身代金ミステリーだけではない、前提がそもそも異なっている意外な展開になる作品でした。構えて観てはいたものの割と読みにくい展開で、限定的な状況をうまく使った内容です。正直なところトリック自体は割と想像の範囲内でした。ただ、そもそもこの身代金事件が何の目的で起こされたものなのか、そのあたりが予想外かつきちんと前フリもされていたのが見事だと思います。情報を小出しにしミスリードを誘い、最後の最後に真相が明らかになる。完璧な構成です。
本作はあくまでミステリー作品ですが、案外純粋に文学や小説が好きな人にも刺さりそうな内容でした。そのせいか、悪役であるランベールがかなり過剰に畜生に描かれてしまったような気がしないでもありません。
オススメ度は5。完成度の高い面白いミステリーです。ミステリーファンだけでなく、単に本が好きなだけという人にもおすすめしたい一品。
Posted: 3 月 6th, 2020 under 2020, 映画.
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