ジョーカー
頭に負った怪我で突然笑い出す障害を抱えたアーサーは、コメディアンを目指しながらピエロの仕事で母二人貧しい生活を送っていた。
何とか普通の人を装って生活するアーサーだけれど、彼を取り巻く環境は厳しく、彼を一層孤独と怒りに追い込んでいった。
ある日、彼はふとした拍子から取り返しのつかない事件を起こしてしまう。そこから自分の予想外の変化を自覚したアーサーは、少しずつ善良な仮面を崩していった。
主演はホアキン・フェニックス。バットマンでお馴染み、宿命のライバルのヴィランであるジョーカーの過去を描いた作品です。
ストーリーはとにかく陰鬱で、そこかしこから負の連鎖が生まれアーサーを苦しめます。そもそもアーサー自体が負の連鎖というのもまた強烈なところ。周囲は分かってくれない社会は分かってくれないみんんが俺を追い込む、そんな環境で笑ってもらうことを仕事にするというのは、もはや初めから異常なのではないかと勘繰ってしまいます。
そして善良なアーサーが少しずつ崩れていき、その決定打を浴びてから徐々にジョーカーらしくなっていく過程のカタルシスはたまりませんでした。そしてみんなのアイドルになってからの、あのラストシーン。ジョーカーのそもそもの設定を殺さず余地を残したうまいやり方だと個人的には思います。
本作で主演を務めたホアキン・フェニックスは、役作りで極端なダイエットをしたとニュースになっていましたが、個人的には総合的な役作り、ジョーカーの怪演と全て見事すぎると思いました。笑いたい時の笑い、笑いたくないけど合わせる時の笑い、笑いたくないけど発作での笑い、この演じ分けだけでも凄かった。個人的にツボなのは、明らかに運動音痴の人の全力疾走がマジでそれなところ。
本作のアーサーに共感する人が多かったというのを聞いたんだけれど、僕は理解できても共感まではしないという程度でした。不幸だと思っている人ほど共感しやすい? この辺の個人差はかなりあるように思います。
オススメ度は5。なんやかんや言っても、ストーリーは凄まじく陰鬱で暗く苦しいものです。とにかくホアキン・フェニックスの怪演がキマり過ぎてるので、心が弱ってる時に見るとうっかり飲み込まれるかもしれません。
Posted: 10 月 4th, 2019 under 2019, 映画.
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