Lazy Bear

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アイ,トーニャ

フィギュアスケートの才能に恵まれたトーニャではあったが、母はあまりに苛烈でフィギュアスケート以外のあらゆるものをトーニャから取り上げる教育を続けていた。
アメリカ代表選手になるまで実力をつけるものの、彼女の私生活は荒みきっており、まともな教育や躾も受けなかったため品が無く協会にも嫌われていた。心身共に支えのない彼女は生来の闘争心でどうにか結果を残し続けてきたものの、念願のオリンピックではメダルを獲得する事は叶わなかった。
フィギュアスケートから離れたトーニャだったが、次のオリンピックが2年後の開催にずれ込んだため、かつてのコーチの協力も得て復帰を試みる。しかし、彼女の知らぬ間に元夫とその悪友が恐ろしい計画を進めていた。


トーニャ・ハーディングの半生を描いた作品です。有名なナンシー・ケリガン襲撃事件を主軸に、本人と関係者にインタビューをしてその内容を忠実に再現したという形での進行となります。
全体を通しての印象として、トーニャは才能があったもののそれに振り回され不幸になった、という大前提の元に作られたように感じました。序盤こそ本人と元夫の間に暴力についての証言の食い違いがあったり、母親の異常な教育方針が目立ったりしていたけれど、徐々にトーニャ寄りの演出に変わっていったように思います。あくまで証言に基づいて、という事もあるんだろうけれど、ならばナンシー・ケリガンの証言も必要なのでは。例の和解の下りなどを含めると、やはり襲撃事件に関わっていませんと言えなくなるからでしょうか。それら偏向気味な構成に加え本人の全てが敵だという証言の屈折の仕方を含めると、案外バランスは取れているのかも知れません。
子供の頃リアルタイムで事件の事をTVで見ていたけど、当時の印象としては悪者が卑怯な真似をして露呈した挙げ句演技でもしくじって笑いものになった、という感じでした。実際のところそこら辺には事実とあんまり乖離していなかったのかもしれません。作中「馬鹿しかいない物語」という言葉が出てきますが、証言の内容が事実と同じなのであればまさにその通りでしょう。なんかこう、しっくりこないというか何とも言えない妙な読後感のようなものを味わわされます。本当に嵌められたのか? ただの被害妄想なのか? とは言え、これら馬鹿で異常な登場人物を演じきった役者達の演技力は本当に素晴らしかったです。

オススメ度は4+。あの事件に興味があったり懐かしむ気持ちがあるならオススメできる内容です。異常さが逆にコミカルで案外気楽に楽しめるでしょう。

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