バンテージ・ポイント
スペインで開催された首脳会談、その焦点は対テロの連携にあった。
米大統領は大勢の国民が見守る中、スピーチを行う予定だった。しかし、米大統領は突如狙撃されてしまう。周囲が混乱する中、壇上の下へ何者かが放り投げた爆弾が爆発、一変して地獄絵図と化す。
久しぶりに現場復帰したシークレットサービスのトーマスは、すぐさま状況を把握し犯人を突き止めるべく調査を開始する。
主演はデニス・クエイド、過去に「オールド・ルーキー」「フライト・オブ・フェニックス(リメイク)」に出演しています。
この映画の最大の見所は、一つの事件を8人の視点から順に追うという変わった演出です。実に様々な視点から切り出すため、一見すると群像劇に近いものがあります。
主な流れとしては、まず最初に大統領の狙撃と会場の爆破から始まり、そこから関わった人物の視点へ同じ時刻から順に切り替わっていきます。その切り替わりのタイミングが、非常に絶妙。「ま、まさか!?」というタイミングで引っ張る、凄い焦らし方をする訳です。それを何度も。そして全ての人物の視点が終わったところで結末に結びつき終わります。それまでには全ての謎はきっちり解明されます。
時間軸で考えればほぼ並行で伏線と回収を行う、その連続を実に自然に行ってる脚本はまさに秀逸の一言に尽きます。とにかくこの映画、脚本が素晴らしい。事件自体は一ひねりしただけの非常に単純なものなんだけど、それを視点を分割するという手法で巧妙なものに演出する凄いアイデア。いいところで視点が変わって時間を何度も捲き戻されるのはイライラするかもしれないけれど、そうやって見事に引き込まれていくのは製作者の意図通りなんだなと思いました。
気になった点としては、もう少し犯人側の背景を明らかにして欲しかったなと思いました。劇中に出て来る理由が全てかもしれないけれど、他の配役がどういう過去と経緯で来たのかきちんと語られているんだから、そこら辺は統一した方が綺麗だったかなと思います。
オススメ度は5−。マイナスは犯人の分。
これは文句無しにオススメできる面白い映画です。誰がどういう立場で、と物語の時間軸を整理できる程度の記憶力は必要だけれど、それらがうまく重なりあった瞬間の感動は筆舌し難いです。思う存分期待して集中して良い映画です。
Posted: 3 月 8th, 2008 under 2008, 映画.
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