Lazy Bear

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追憶

富山県警の刑事の篤は、幼い頃に犯した秘密を友人達3人と共有していた。ある日偶然再会した友人の一人の悟が、もうひとりの友人啓太に会うと言い翌日死体で発見される。何よりもまず3人の接点となる秘密が公になる事を恐れた篤は、悟との関係を意図的に隠す。しかし捜査線はすぐに啓太にまで伸び、啓太は殺人の被疑者としてあげられてしまう。


監督は降旗康男、主演は岡田准一、小栗旬。
過去と現在をめぐる二つの事件が交錯したヒューマンドラマ作品です。事件を追う形ではあるけれど、謎解き要素は皆無と言って良いでしょう。むしろ、過去と現在とに苦しめられる人の姿を描いた作品です。
主人公の篤は、私生活に様々な問題を抱えた息苦しい環境にあります。そんな中で起こる幼馴染の殺人事件に、まるで過去に駆り立てられるように奔走するさまは、見ていて非常に辛く苦しい印象を受けました。その一方で、何もかもを引き受け現在を明るく前向きに生きる啓太には、異様な男らしさ頼もしさを感じました。この作品の中心は啓太かも知れません。序盤の歯の浮くような軽口も、真相の分かった後半では大きな意味と覚悟を持っている事が分かります。結局のところ篤が一番精神的に弱く、啓太が強くて懐が深いのか、という印象があります。ただ、どちらにもその性質上の苦悩があるのが本作の見所でしょう。とは言え、正直主人公の岡田准一よりも小栗旬の方がずっと存在感が大きいように思えました。
全体的な展開はかなり後味の悪いものです。それに対してどう向き合って折り合いをつけるのか、ラストシーンは明確であったり無かったり、割と人によって印象は変わると思います。とは言え、うだうだと蛇足を垂れ流さずスパッと終わらせる潔さは本当に良い終わり方だったと思います。余韻が実に残る。
ちょっと気になったのは、特に夕焼けのシーンの雑すぎるCG合成。全体的にここがCGっていう分かりやすいところが多過ぎます。もうちょっと演出何とかならなかったのだろうか。結構こういう些細なところが興ざめに繋がります。

オススメ度は5−。基本的に後味の悪いお話ですが、その中で苦闘する人々の姿には涙を誘われます。特に小栗旬ファンでは無くとも、かなり引き込まれるものがあると思います。

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