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マダム・フローレンス! 夢見るふたり

音楽を愛し、社交界で活躍するフローレンス。彼女はソプラノ歌手を目指し日々猛特訓を行っていたが、彼女は本人が気付いていない音痴だった。しかし夫のシンクレアは、批評家達を買収したりフローレンスの音痴を知っている者だけを集めて舞台を手配したりし、フローレンスに自らの音痴を気付かせないよう励んでいた。
やがて気を良くしたフローレンスは自費録音でレコードを作成、それを戦傷兵の元へ送り始める。そして遂にはカーネギーホールでのコンサートを開催するとまで言い出してしまった。


主演はメリル・ストリープ、ヒュー・グラント。
裸の王様を連想させるコメディ映画ですが、実話を元にしたお話です。主人公のフローレンスは、音楽を愛する一方で非常にお人好しな面もあり、お茶目で可愛らしい部分が多く見られました。しかし歌に関しては本当に駄目で、その真実を告げられずずるずると誤魔化し続けてきた夫にも問題はあるのだけれど、確かに心無い言葉を浴びせるには躊躇われる人柄と感じました。
自分が音痴であることを知らず目立つような事を始め、それを周囲が慌てて隠蔽したりフォローするのはコメディの様相だけれど、そうなるのには非常に重い過去や背景があり、また彼女がどういった気持ちで歌おうとしているのか、想いと覚悟が語られる終盤ではとても音痴だからと笑えるような軽々しいものではなくなっていきます。この作品は、それでも心無い言葉を平気で浴びせる人は少なくない所に悲哀を感じます。単なる自覚のない音痴の映画だったら、ここまで入り込めなかったでしょう。何かしら目的や経緯に想いがあって行動するからこそ、心を掴む何かがあるのだと思います。それはまさに最後のカーネギーホールでの歌と同じではないでしょうか。

オススメ度は4。コメディと思いきやかなり感動できる作品です。メリル・ストリープの名演も流石に見応え抜群でした。

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