チャッピー
凶悪犯罪の多発する南アフリカのヨハネスブルグ。そこで2016年、世界初の人工知能型の警察官ロボットが導入される。警察官ロボットのスカウトシリーズは瞬く間に効果を現し、ヨハネスブルグの犯罪は目に見えて減少していった。
成功裏に終わったスカウトシリーズの導入。その一方で設計者であるディオンは、長年夢見ていた感情を持ったロボットの開発に完成の目処をつける。しかしCEOの了承が得られず、ディオンは無断で廃棄予定だったスカウト２２号に作成した感情プログラムをインストールする。
監督はニール・ブロムカンプ。２０１６年のヨハネスブルグを舞台にした、ロボットSF作品です。
チャッピーと名付けられたスカウト２２号は、運悪くギャングの元で起動し、そこで生活をするようになります。生まれたばかりの無垢な子供同然のチャッピーは、当然ギャングに利用され悪影響を受け、知らず知らずに犯罪行為にも手を染めるようになっていきます。ところが、このギャングもある種の父性母性もあり、実に奇妙な親子関係が築かれているように見えました。
そして問題はチャッピーの環境だけでなく、全く同じ目的で設計されながらも思想の違いにより採用されなかった警察官ロボット、その開発者のヴィンセントが起こします。ヴィンセントは、ロボットの自律思考を危険視しあくまで人間の判断で使われる道具であるべき、という確固たる信念を持っているのだけれど、そのやり口は目的ありきで非常に問題のあるものばかりでした。個人的には、チャッピーとこのヴィンセントは非常に対照的な存在だと感じました。どちらが人間らしいとかそういった観点だけでなく、善悪に対するアプローチの違いが産んだ軋みだと思います。そこから辿り着いた結末は、本当に考えさせられるものでした。
オススメ度は５。大前提となる目的を持たないチャッピーは、新たなタイプの人工知能型主人公だと思います。思わず考えさせられるシーンが多く、単純なSFよりずっとあれこれ考察する楽しみのある作品です。
Posted: 5 月 23rd, 2015 under 2015, 映画.
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