悪童日記
第二次世界大戦末期、双子の兄弟は戦禍を逃れるため母親の実家へ疎開する。父親は出兵、母親は何処かへ行ってしまい、二人は祖母の元で生活をする事になる。祖母は二人をメス犬の子供と呼び、人並み以上に働かなければ食事は与えないばかりか、事あるごとに暴力をふるった。双子に対して暴力をふるうのは祖母だけでなく、二人を取り巻く環境はあまりに劣悪なものだった。
そんな中を生き抜くべく、二人は己を鍛え始める。痛みに慣れ、脅迫も辞さないようになった二人は、次第に強さと呼ぶものが歪んだ形で現れ始める。
原作の小説は30年ほど前に刊行された作品です。第二次世界大戦末期が舞台という事以外は固有名詞が一切伏せられ、人物名や地名は元より、主人公である双子はそれぞれの区別すらつけられていないというかなり異色の作品です。
主人公である双子は、いつも一緒で仲の良い美少年ですが、取り巻く環境の悪化に伴って次第に歪んでいきます。戦争へ従軍する父が起こったことをありのまま記すよう二人に残した日記を回想するような展開で進んでいくのですが、少年の目から見る戦時下での大人達の振る舞いと、双子が歪んでいく過程が時に鬼気迫るものがあり、穏やかな展開と思って見ていると不意打ちのように双子達が異様な行動に出ます。それが緊張感を与え、思わずのめり込むほど濃い展開の連続でした。
戦時下の生活を描いただけの作品と思いきや、双子の歪んでいく過程に一種のカタルシスすら感じられる奇っ怪な作品のような印象を受けました。この世界観の奇妙さをうまく伝えられないのが口惜しく思います。
オススメ度は4。面白いという印象よりも困惑の方が強いです。そんな奇妙な作品なので、普通の映画ではなく少し変わったものが観たい方には抜群にオススメします。
Posted: 10 月 11th, 2014 under 2014, 映画.
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