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柘榴坂の仇討

目録を持った剣術の達人である志村金吾は、大老井伊直弼の近仕として警護を任されていた。しかし安政七年、桜田門外の変により井伊直弼は命を落とす。志村金吾は責任を取って切腹となるところを、首謀者のうち逃亡した5名の首を持って帰る事を言い渡される。
しかし時代は次々と流れ、やがて明治の世の中に変わって幕府も彦根藩も消え、その上仇討ちまでもが法律で禁止されてしまう。


主演は中井貴一、阿部寛。桜田門外の変と、それに関わった2人の武士の仇討ちをテーマにした時代劇です。
主人公である志村金吾は、時代が移り変わってもその変化に流されず、頑なに仇討ちを続けています。けれど、そもそもの彼は仇討ちよりも切腹による自害を望んでいました。それが何時からか仇討ちが生涯の目的となり、明治になっても固執する理由を、主君である井伊直弼の人柄が好きだから、としていました。
そんな彼に対しては、とにかく復讐の否定ばかり。そんな事をしても意味は無い、自分も変わってひたむきに暮らせと、正直うんざりするほどそんなワードを聞かされます。
それでも頑なに仇討ちを続けるのですが、そんな彼の最後の選択には正直唖然としました。散々武士の魂がどうとか、武士の内面的な普遍性を語っておきながら、いきなりそれの全否定です。結局のところ、主人公も時代の流れに考え方が変化して、しかも都合良く解釈を変えるようになったのだなと、何だか悲しい気持ちになりました。
何かこう節々に引っかかるような物言いの多い脚本だったけれど、最後の最後にそういう方向性だったのかと落胆させられました。俳優が良かっただけに、話の展開の残念さに全く馴染めません。

オススメ度は3+。こういった展開は、かなり人によって印象が分かれると思います。悪い言い方をすると、綺麗事が好きな人には合う脚本かも知れません。

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