鑑定士と顔のない依頼人
超一流の鑑定士であるヴァージルは、クレアという女性から父親の遺産の鑑定をして欲しいという依頼を受ける。しかし、クレアは何故かヴァージルの前に姿を表さず、契約書のやり取りも壁越しに小さな隙間からという異様な状況だった。初めこそクレアの態度に激昂すらしていたヴァージルだったが、このクレアに対して徐々に惹かれていくようになる。
主演はジェフリー・ラッシュ。ミステリアスな依頼人と美術鑑定士とのミステリー作品です。そして初めに断っておけば、宣伝コピーにもある通り、これは悲劇的なお話です。そのため、観賞の際にはある程度の覚悟が必要な方もいるかも知れません。
主人公であるヴァージルは、鑑定士としては一流ではあるものの、その私生活は非常に孤独で、数少ない友人の1人と共謀して集めた絵画に囲まれながら生活しています。非常に気位が高いが、携帯電話の使い方も知らないという世間一般常識にやや欠けるところもあります。そんな彼が、非常にミステリアスな女性に惹かれていくという訳ですが、中盤ぐらいにこのクレアの正体があっさりと分かり、これが案外普通で拍子抜けしました。しかし、ここから更に二転三転としていき、壮絶なカタルシスと共に結末を迎えます。その過程までに、実は驚くほど伏線や前振りがあり、かなり計算された物語だったと気付かされました。
ヴァージルの恋愛物語として見るには、この前後がかなりキツイ部分があると思います。それだけに、これは一体何の話なのだ?という疑問が湧く時間帯もあるかと思います。だからこそ、前もってこの作品のジャンルを知らないで観ると、終盤に愕然とするかも知れません。主人公が完璧な鑑定眼の持ち主というのも、皮肉な印象を受けました。
オススメ度は5。ミステリー作品として非常に練られた展開と、個々の役者の演技が素晴らしい作品でした。しかし、結末は非常に重いものであるため、観賞の際には若干注意が必要と思われます。
Posted: 12 月 14th, 2013 under 2013, 映画.
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