俺は、君のためにこそ死ににいく
第二次世界大戦の終わり、戦局に窮した日本軍は戦闘機に爆薬を積み込み空母へ体当たりを仕掛ける特攻隊を編成する。特攻隊に選ばれたのは、いずれも二十歳前後の若者ばかり。
国のために死ぬことを義務付けられた彼らは、軍部お抱えのとある食堂の女将、鳥濱トメを唯一の心の拠り所としていた。
石原慎太郎が製作総指揮を担当した、実在の人物である鳥濱トメ氏の視点で描いた特攻隊の作品。
保守系でも有名な石原氏が担当したのでどんなものが出来上がるかと思っていたら、悪い意味での期待はずれでした。
タイトルからしてアレゲなのはさておき。とにかく保守的なニュアンスを強く出そうと、やたらセリフにくどくどしく特定の単語が出てくる訳です。国体とか皇国とか、そういうの。当時の世情を考えれば当たり前の事かも知れないけれど、今ひとつしっくりこない。
鳥濱トメ氏の視点で描かれてるので群像劇のような感じですが、時系列にまとまりを感じなかったので、酷く展開がばらばらのような印象を受けました。これは脚本が悪いのでしょう。
クライマックスでの特攻シーンも出来が酷い。外注らしいけれど、かなりの手抜き感満載で、まるで戦争の迫力が伝わって来ません。
極めつけは、ラスト。正直なところ「そりゃねーよ」と噴出しかけました。
日本では、自称左翼やら革新派はどれも首の上にピーマン乗せてるような連中ばかりだけど、保守派も大した変わらないような印象をこの映画で持ってしまいました。
思い返すと、クリント・イーストウッドは恐ろしいほどバランスの取れた映画を作ったんだなあと、つくづく感心させられます。日本人には戦争映画は無理なジャンルなのかもしれません。まあ、近代史の戦争はもう出涸らしと言ってもいいほど使い古されたし、どうやっても古臭くなるんだろうけど。
オススメ度は3−。まあ、特に無理に見るまでもありません。
鳥濱トメ氏の存在を知るきっかけには良いかもしれません。それと、窪塚洋介の演技も相変わらずでとても良かった。
Posted: 5 月 12th, 2007 under 2007, 映画.
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