Lazy Bear

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少年H

1940年台の神戸。洋服の仕立て屋の息子である妹尾肇は、快活で絵の得意な少年だったが、生来口が悪く、いつも一言余計な事を言ってしまうがために、問題を起こしていた。
日本はちょうど開戦を迎えようとしている時期で、世の中の流れの変化に対し、疑問や不満を常日頃から口にしていたが、そのたびに父親にたしなめられていた。やがて戦争も末期へと突入、神戸もいつ爆撃されるのか分からないといった状態に追い詰められる。


原作は、妹尾河童の同名の小説。主演は水谷豊。妹尾河童の自伝的小説の映画化です。

主人公である妹尾肇は、とにかくやんちゃではあるものの、ただやんちゃなのではなく、物事の本質が良く見える大人びた所がある一方で、シニカルな喋り方をするせいか、粗暴さと知性が同居している変わった子供です。そんな彼の視点から描かれる、戦時中の日本の一般庶民の生活は、子供なりの視点ながらも非常に良く本質を突き、余計な筈の一言一言に考えさせられるものがあります。あくまで子供目線からの戦争であるため、誰が正しい正しくないは関係無く、むしろ簡単に掌を返したり終始一貫していない矛盾さに対する怒りを感じました。原作が自伝的小説であるからこそ、よくある戦争映画では語られないような部分や切り口で見せられるのではないでしょうか。
この妹尾肇を演じていた子役の吉岡竜輝は、非常に良い演技だったと思います。ただがなったり、生意気な口調をしているだけでなく、きちんと疑問や目的意識、時に怒りを持って行動し、言葉を放っているなと感じました。見ていて自然と目を引きつけられるような、良い演技だったと思います。

オススメ度は5。原作がベストセラーだけど、その脚本に頼り切っていない、非常に良い作品だったと思います。吉岡竜輝の演技だけでも十分に観る価値はあると言えるでしょう。

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