Lazy Bear

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華麗なるギャツビー

1920年代のNYは、第一次大戦後の空前の好景気で、狂騒の時代を迎えていた。
証券マンのニックは、成金長者達が豪邸を構える中のコテージへ一人住み、日々証券の売買に精を出していた。
彼の隣には、週末になると各界のセレブが集まり盛大なパーティを開く、謎の富豪が住んでいた。彼の名前はギャッツビーと言うが、その経歴はドイツ皇帝のいとこだとか、どこかの暗殺者だとか、一定していなかった。そして、出席者の誰もが彼の顔を知らないという。
ある日、ニックは突然とこのギャッツビーからパーティの招待状を受ける。それを機に、二人は友人となり交流を持つようになった。


原作はフィッツジェラルドの小説。主演はレオナルド・ディカプリオ、トビー・マグワイア。
謎の富豪ギャッツビー、彼は一体どのようにして巨万の富を得て、何のために盛大なパーティを開き続けるのか。そんな謎を巡るニックからの視点で描かれた作品。原作の5度目の映像化だそうですが、本作が最も原作に忠実な内容だそうです。

導入は非常に穏やかで、とりあえず謎の富豪が居るということ、あとは基本的に好景気に押されたバカ騒ぎばかりという雰囲気でした。
このギャッツビーという人物は、見た目は紳士的な好青年だけども、どこかしら胡散臭さが滲む人物です。そのため、ニックは彼を友人とは言いつつも、常に第三者的に一歩退いた付き合いをしています。そもそも基本的にニックはあまり人と積極的に繋がろうとしている印象は受けません。作中でも罵られるけれど、ニックは常に傍観者としての立ち位置を崩さないようにしています。
物語が進み、徐々にギャッツビーの行動する理由や目的が明らかになり、それに対しての行動が始まると、一気に人間関係には動きが出て来ます。そして、彼らをニックが後に「クズばかり」と評するように、最悪の結末を迎えてしまいます。そんな中で、ニックはギャッツビーだけを評価し、最後の最後でニックも立ち位置を変えた振る舞いをします。この心変わりには、思わずグッと来るものがあります。また、ギャッツビーにも豹変するシーンがあり、そこもまたあまりに鬼気迫った迫力ある演技に息を呑まされました。個人的に、この二人は非常に純粋で良く似ている人物なのではないか、そんな事を思います。

一見するとラブロマンス的な物語に見えて、その実は非常に残酷で人間の生々しい姿を描いた、風刺的な一面を持った作品に思います。原作は未読ですが、この映画でいったい何を描きたいのかはおぼろげながらも伝わって来るように思います。そんな、考えさせる力を持った魅力溢れる映画でした。

オススメ度は5。華やかに見えて、非常に鮮烈で残酷にも思える映画です。単なるロマンスものではない深い物語なので、これはかなり見応えのある非常に良い作品と言えます。

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