Lazy Bear

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グランド・マスター

1930年代の中国は、日中戦争の勃発により、戦乱の世に突入していた。抗日運動は激化し、内戦が内戦を呼ぶ混沌とした最中、武術界もまた抗日のために統一せんとする動きが広まっていた。
形意拳と八卦掌を統一した北部の傑物、宮宝森は、自分の後進を、若手ながら南部では随一の使い手である詠春拳の葉問にしようと画策する。それをよしとしなかった弟子の馬三は、宝森を襲撃し命を奪う。一人娘である若梅は、父の遺言を破ってまで敵を討つ事を決心する。


主演は、トニー・レオン、チャン・ツィイー。監督はウォン・カーウァイ。
イップマン(葉問)は、かのブルース・リーに詠春拳を指導したと言われている実在の武術家です。本作は、そのイップマンと他2名の実在の武術家の半生を描いた作品です。

2年間のトレーニングや、イップマンの最後の弟子からの指導などなど、前情報ではとにかく武術家と同等の訓練を詰んで撮影に挑んだというアクションシーンへのこだわりが感じられるものでした。実際アクションシーンでは、力強さ、技のキレ、目まぐるしい攻防で圧倒される凄まじい出来栄えでした。しかし、この肝心のアクションシーンですが、全体を通してほとんどありません。しかも、実際に打ち合う所は更に少なく、達人同士の戦いとなっては1戦しかありません。正直なところ、これには本当にガッカリしました。史実に則っているとは言え、多かれ少なかれ盛って演出しているのだろうに、どうしてここまでアクションシーンを削ったのかは理解に苦しみます。アクション映画ではなく、あくまで人間ドラマを描いたんだよ、と後出しで言われたような気分になりました。確かに、それぞれの心理描写や音や水の表現は細かく丁寧にやっているだけあって、見応えはありました。ただ、話の流れに必要性を感じさせないカットが多く、本当にアクション削ってまで必要だったのか疑問です。そもそも、3人の武術家を出す必要すらあったのかが疑問です。これ、むしろルオメイの復讐劇をメインにして、イップマンを脇役で出す程度の方が全体の構成として良かったのではないでしょうか。イップマンもカミソリも、蛇足のような気がしてなりません。

オススメ度は3+。ちょっと期待通りにはいかない作品でした。本当に数は少ないけれど、アクションシーンは確かに凄い事は凄いです。それだけに物足りなさもひとしおです。

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