リンカーン
1865年、大統領に再選したリンカーンは、悲願だった憲法第１３条修正の実現に向けて本格的に動き出す。
現在のアメリカは後に南北戦争と呼ばれる内戦状態で、その戦いは既に４年目を迎えようとしていた。根本的な原因でもあった奴隷制を排除し、無益な戦争を終わらせる事が最も重要な課題である。
そのためリンカーンは、確実に下院で議決するため、必要な票を集めるために工作を始めるのだった。
監督はスティーブン・スピルバーグ。主演はダニエル・デイ=ルイス。主な共演として、トミー・リー・ジョーンズ、ジョセフ・ゴードン＝レヴィット。
史実上の奴隷制廃止までのリンカーンの半生を描いた作品。リンカーンの視線で描かれる活動記録のような映画かと思ってましたが、内容は想像以上に政治の映画でした。政治と言うよりかは、政治上の駆け引きや工作、各政治家の理念などが特にはっきりと描かれており、誰がどういった立場でどう振る舞うのかが非常に分かりやすいと思いました。当時の世情や、合議のために何が必要なのか、そういった知識的な方面は作中で分かりやすく説明が成されるので、特にこれと言った予備知識は無くても構いません。
温和なリンカーンに対し、急進派であるスティーブンスの言動は非常に対照的でした。また、リンカーンの息子であるロバートも、当時の若者達の価値観をよく伝えており、南北戦争時代の背景がひしひしと伝わって来ます。話のほとんどは政治工作の話になるのだけれど、単に奴隷制は廃止すればいいものではない、という描き方が良かったです。反対する民主党側も、ただ反対している議員だけでなく、思想的なものだったり、賛成ではあるけれど急進的にするべきではないだったり、実に様々ありました。教科書では、ただ奴隷制を廃止したとしか書いていないので、どういった経緯があって、どういった思惑がぶつかっていたのか、それらを繋いでいく過程も楽しめる作品です。
オススメ度は４＋。政治工作がほとんどの映画だけれど、決して難解な内容ではないので、構えて観る必要はありません。史実の出来事と名優達の名演を、じっくりと楽しむ事が出来るでしょう。
Posted: 4 月 20th, 2013 under 2013, 映画.
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