ゼロ・ダーク・サーティ
9.11の事件以降、アメリカ軍はアルカイダ及び最高指導者であるビン・ラディンの捜索に、国家の威信をかけて心血を注いでいた。ある日、ビン・ラディン捜索チームにCIA女性職員のマヤが派遣される。歳は若く実績もない彼女は、ビン・ラディンの行方を求めて全力を尽くすものの、それをあざ笑うかのようにテロ事件は続き、彼女自身もまた命を脅かされる日々に苦悩する。
監督は「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグロー。
イラク戦争とそれにまつわるビン・ラディン捜索を、実際に従事した人々の証言に基いて製作されたフィクション映画です。登場人物も、おそらくモデルになった人は居てもほぼ架空の人物のようです。
序盤はマヤはビン・ラディンの捜索を仕事のようにこなすものの、それが次第に執念深さを帯びておき、情報が集まるに連れていささか狂気じみてくる展開は非常にゾクリとさせられるものがありました。途中、実際の事件を踏まえつつ彼女は何度も命を狙われているにも関わらず、まるで苦にしていないのは、責任感よりもただひたすら執念ばかり感じさせる異様なものがあります。
作中には、アルカイダ関係者の捕虜を虐待するシーンが何度も挟まれます。割とオーソドックスなやり方で、ああこれくらいはしているだろうなあ、という印象でした。そもそも、実際に報道された虐待の内容の方がもっと強烈だっただけに、いささか拍子抜けの感じがあります。また、これは製作時期の都合上仕方が無いのだけど、ビン・ラディンの殺害シーンが実際の証言と異なっていました。
宣伝では女性が追い詰めた云々がやたら押されていたけれど、あくまでフィクション作品である事を念頭に置いておいた方が良いと思います。男社会で女性が活躍する映画というより、大した実績のない新人がビン・ラディン捜索へ徐々に昏倒し、それが成された後にどうなるのかが一番の見所だと思います。
オススメ度は4ー。いささか尺が長く、アルカイダ関係の予備知識も必要かと思われますが、主人公の執念深さとそこに行くまでの過程は非常に見応えがあります。
Posted: 2 月 16th, 2013 under 2013, 映画.
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