脳男
愛宕市で発生した連続爆破テロ事件は、遂にはバス一つを丸ごと吹っ飛ばすまでに激化する。その手口はいずれも、犯人に対してテレビで批判した者を誘拐し、舌を切り取った上で爆弾を埋め込むという非常に残忍なもの。手掛かりも見つからず、捜査は難航していた。
しかしそんなある日、ふとした切っ掛けから犯人の所在らしき情報を入手、早速現場へ向かうと女性の言い争う声が聞こえて来る。その次の瞬間には部屋が爆破された。
その跡に残っていたのは、鈴木一郎と名乗る一人の青年のみ。すぐさま一連の事件の容疑者として連行する。
主演は生田斗真。共演として松雪泰子、江口洋介。
残忍な爆破テロ事件と、容疑者として逮捕した謎の青年、精神科医と刑事によるサスペンス映画です。鈴木一郎と名乗る青年は、尋常ではない知能と運動能力を持つ上に痛覚も無い、不気味さと妙な魅力のある人物として描かれていました。
ストーリーは彼の鑑定や足跡の調査、テロの真犯人の動向などを巡りながら、かなりショッキングな描写を多く絡めて進んでいきます。印象に残ったのは、登場人物がみんな下手に美化されていないところ。みっともない姿もそうだし、エゴを剥き出しにしたり、感情的になったり、一際人間臭さが強調されています。そのため、そういうものが無い鈴木一郎との対比から、彼の異常さが良く印象付けられます。
鈴木一郎の行動基準とテロ事件の犯人の関係は、どこか重なる所があります。犯人は同族嫌悪なのかどうか正確な所は良く分からないけれど、鈴木一郎に固執し始め異常さを際立たせる描写は迫真に迫るものがあって、悪役サイドもうまくバランスは取れていると思います。
鈴木一郎役の生田斗真のアクションは、アクションスタントかも知れないけれど、想像していたよりもキレが良く爽快感があります。わざと瞬きをせず目を剥き出しにし、心の機微を表現するのも良かったです。ただ、ストーリー自体があまり後味の良い終わり方をするものではなく、特に焼死体などのキツい死体描写も多い上に、精神にも来るカットがあるため、勧善懲悪の爽快なアクション映画を想像して観に行くと、かなりキツいカウンターを貰う事になると思うので注意が必要です。
オススメ度は5−。家族と和気あいあいと見に行ける内容ではありません。残酷描写も多いので人を選びそうですが、サスペンス映画としては間違いなく良作の部類です。
Posted: 2 月 9th, 2013 under 2013, 映画.
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