Lazy Bear

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のぼうの城

天正18年、ついに北条氏の征伐に乗り出した豊臣秀吉は、小田原城へ向けて進軍を開始する。関東には22もの支城が点在しており、その全てに兵を差し向ける。
石田三成は2万もの軍勢を付けられ、成田氏の持つ忍城の攻略を言い渡される。この戦いで武功を勝ち得ようと三成は気炎を上げる。
一方、忍城城主である成田氏長は、叔父である成田泰季に城代を任せ、自身は小田原城へ詰める事になる。しかし成田泰季は急逝、跡目を継ぐのは嫡子の成田長親だった。しかし長親は、領民から”でくのぼう”の”のぼう”と呼ばれるような男だった。


主演は野村萬斎。同名の歴史小説が原作で、出演者も著名な面々ばかりの豪華な内容です。
歴史上でも有名な忍城の攻防戦をベースにした、エンターテイメント作品です。大筋の流れは史実の通りだけれど、かなりアレンジや演出が入っていました。
水攻めや合戦など、劇中での見せ場は非常に迫力があり、かなり力が入っているように思いました。鉄砲の一斉掃射や馬乗での槍合わせなど、とにかくアクション部分は見応え抜群で、手に汗握りながら観てしまいました。それ以外も、当時の風習や習慣をしっかり再現しているようで、かなり細かな所でも手を抜かずに演出していました。
が。
そんなきめ細やかな演出をする一方で、時折明らかに浮いた演出をやり始めたり、言葉遣いがあまりに現代的で威厳を感じなかったりと、妙にちぐはぐな演出をするのが気になりました。この映画は監督が犬童一心、樋口真嗣と2名いるため、有り体に言えばどちらかが戦犯なのでしょう。
俳優についてですが、やたら役にハマって好演している人と、そもそも役者をやっちゃいけないレベルの2通りがありました。豊臣方は、石田三成や長束正家の人物像が悪意すら感じられる描き方だったのが気に障る上、三成の役者はもっと知性を感じさせる俳優にして欲しかったです。これでは、馬鹿が自滅しただけの映画です。成田側も、正直主役の野村萬斎はあまりハマってはいないように思いました。やたら声が甲高くて聞き取りにくく、人間的な魅力もあまり感じませんでした。にも関わらず領民に好かれている設定も無理があります。おまけに、コピーでも謳われている肝心の奇策が皆無というのは、ほとんど詐欺レベルです。
各侍大将である佐藤浩市、成宮寛貴、山口智充は、いずれもキャラクターがはっきりしていて、驚くほどのはまり役だったと思います。ただ見せ場は少なかったのが残念です。
それと、作中では重要な役割のはずの甲斐姫だけど、あの程度であればいっそ出なかった方がスッキリするように思いました。どうして現代の価値観に無理に当てはめようとしたり、無意味に恋愛要素を盛り込もうとするのか。それと演技が普通に下手です。
史実では、水攻め失敗の後は真田昌幸、信繁親子が忍城へ攻めるのだけど、それもありませんでした。どうせエンターテイメントにするなら、その部分や、甲斐姫が戦場ではっちゃける逸話も盛り込んだ方がずっと面白くなったと思います。

オススメ度は3。正直、大分期待外れでした。中途半端なエンタメ系なので、歴史ファンは満足できないと思います。ただ、一部の大根役者を見なかった事にすれば、まだ楽しむ余地はあると思います。

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