最強のふたり
スラム出身の黒人青年ドリスは、失業手当を受給するために就職活動の実績作りをしていた。そんな彼が受けたのは、大富豪フィリップの介護人。彼は事故で首から下が完全に麻痺しており、常に介助がなければ生活できない状態だった。
面接ではあまりに奔放な態度を取るドリスだったが、何故かフィリップは彼を介護人として雇う事にしてしまう。
実際の出来事をベースにした、コメディタッチの映画です。
お世辞にも育ちが良いとは言えないドリスが、全身麻痺の障害者を介護するお話。このドリスというキャラクターは、とにかく下世話な話が大好きで、しかもジョークがきつく、落ち着きもなければ品性もない、およそ介護ができるタイプには思えませんでした。そんな彼とフィリップが、時折意見を食い違えさせつつも、非常に面白おかしくやっていくのですが、非常にテンポとノリの良いコメディで、とても楽しめました。
しかしこの映画、ただのコメディに終始せず、時折人生における問題や障害者の現実など、そんなシビアな所に切り込んできたりします。その描き方も、真っ向から受け止めたり、時にはシニカルな笑いに変えてみたり、一筋縄ではいかない作品という印象がありました。
沢山笑えるけれど、同じくらいしんみりとしてしまう、非常にバランスの良い映画だと思います。
それと、予告編では大分センスの悪いコピーを使ってたけど、あれとは印象が良い意味で異なる映画だったので、予告編で躊躇った人は是非見て欲しいところ。
注意点として、ドリスのジョークが挙げられます。とにかく彼は、フィリップを平気で障害者ネタでからかいます。それに対するフィリップの受け止め方がこの映画の見所ではあるのだけれど、駄目な人は駄目かも知れません。あんまり気難しく見るものでもないし、そもそも実在の人物がベースになっているのだから、そこら辺は価値観の違いとしか言い様がないけれど。
以前、同じように実在の全身麻痺の人物の映画で、「海を飛ぶ夢」というのを観ましたが、あれと比べると全く悲壮感が無く、むしろ温かい気持ちになれると思います。
オススメ度は5−。ややドリスのジョークがキツイけれど、非常に面白くて楽しいコメディ映画です。色々考えさせられる事もあるけど、基本的には楽しく明るい映画なので、気軽に観に行くと良いでしょう。
Posted: 9 月 1st, 2012 under 2012, 映画.
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