冷たい熱帯魚
熱帯魚店を営む社本信行は、問題を先送りする性格が災いし家庭内不和を起こしていた。
ある日、娘の美津子がスーパーで万引きをして捕まる。警察沙汰になりかけた所を丸く収めてくれたのは、同じく熱帯魚店を営む村田という男だった。この事が切っ掛けで、社本と村田は家族ぐるみの付き合いをすることになるのだが、気さくな性格の村田にはもうひとつの恐ろしい顔があった。
主演は吹越満。実在の事件である「埼玉愛犬家連続殺人事件」を元にしたサスペンス映画なのだけれど、正直なところ参考したであろう箇所は遺体処理のところぐらいじゃないの、という感想でした。夫の殺人哲学はやや引き継いでいるようです。
強く言えない性格が故に、強引な村田のペースにかかり徐々に深みにはまっていく、この流れるような展開の恐ろしさと、でんでん演ずる村田の表裏の顔の使い分け方が相まって、出だしから非常に惹きつけられるサスペンスでした。
しかし、どうも中盤以降から勢いばかりの唐突過ぎるおかしな展開になったと思ったら、終盤は本格的におかしくなっていきました。主人公が変貌するのはともかく、やっつけでやっているような感じがしてなりません。展開上の必然性がすっぽり抜けている印象でした。なので、どっかで見たことあるようなありきたりなサブカル映画と大差ない締めだったのは、でんでんの怪演と中盤までの展開の良さもあり、非常に竜頭蛇尾の印象を受けます。
死体処理のシーンが多いのでグロいカットが非常に多いのは好き嫌いがあると思います。また、テレビでは使えないような用語も当たり前のように飛び交ったりします。性描写も1つ2つではありません。そのための年齢制限なんだろうけど、本当に必要なのかな?と率直に疑問でした。実際の事件をインスパイアしてまで、結局何が描きたいのだろう? そこら辺が迷走している映画です。正直、でんでんがいなかったらかなり悲惨な評価になります。
オススメ度は2+。脚本は期待しない方がいいです。ただ、でんでんの村田は非常に素晴らしい悪役ぶりでした。ここだけは見る価値があります。
Posted: 11 月 19th, 2011 under 2011, 映画.
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