一命
井伊家江戸屋敷に現れたのは、元福島家の家臣と名乗る浪人、津雲半四郎。改易以来、生活の困窮から抜けだせず、これ以上生き恥を晒すのは忍びなく、切腹するため玄関を貸して欲しいとの事だった。
しかしこれは、当時流行していた狂言切腹であると見抜き、家老斎藤は以前も狂言切腹で訪れた千々岩求女という同じく元福島家の浪人の話を始める。
監督は三池崇史。主演は市川海老蔵。その他、瑛太に役所広司、満島ひかり等。
「切腹」のリメイクらしいのですが、プレスにはリメイクでは無いと言っているようです。
江戸幕府開幕以来に激変した武家社会をテーマにした作品。武士の誇りと建前を、狂言切腹を通して描いた作品。主人公である津雲の正体が最初は不明瞭で、本人は切腹をしに来たとは言うものの、今ひとつ納得の行かない不自然さが謎を呼ぶ、何段階かの段階を踏む回想が非常に面白い内容でした。
三池崇史監督の特徴として、グロいものや凄惨なものをあえてくっきりとごまかさず晒すのだけど、今回は割と抑えめだったように思います。だけど、切腹のシーンは凄まじい迫力があり、狂言切腹というものがどれだけリスキーなのか、そしてそれをせざるを得ない状況の悲惨さが、これだけでも十分に伝わってきます。
序盤の切腹、そして津雲の正体が徐々に明らかになっていく中盤以降、そして津雲の目的が明らかになるクライマックス、回想ばかりだというのに、なかなか退屈させられない面白さがありました。ただ、終盤の大立ち回りで、どうも津雲の動きがなあ、と。多分演じているのが市川海老蔵なので、軽くメタったのだと思うけれど。ちょっと吹いてしまう。
市川海老蔵は以前に「出口のない海」という映画の主演で見たことがあり、演技力等は変わっていないようだったけれど、なんか声というか発声が変わったのか、やたら聞き取りにくいように思いました。キャラ作りなのか? でも、そうだとしてもあんまり意味のない設定のように思います。
オススメ度は5−。時代劇好きでなくとも、十分に楽しめる内容だと思います。ただし、ちょっとはグロいので、ちょっぴり覚悟だけしといた方が良いかも知れません。、まあ、大概の人には大した事は無いとは思います。これまでの三池作品に比べれば軽いものなので。
Posted: 10 月 15th, 2011 under 2011, 映画.
Comments: none
Write a comment