見えないほどの遠くの空を
大学の映画サークルで監督を務めていた高橋は、自らが書いた脚本の映画の撮影を行っていた。しかしラストのシーン撮影直前に主演女優である杉崎が急逝してしまう。
未完成のまま一年が過ぎ、杉崎の事件も落ち着いてきたある日の事、高橋は町で死んだはずの杉崎にそっくりな女性を見掛ける。高橋は彼女に代役を懇願し、未完成だった映画を完成させようとするのだが。
原作は同名の小説。
正直なところ、ざっと読んだあらすじにひかれただけで、監督や演者は何一つ知らない状態で観に行きました。初日の初回で舞台挨拶なんかあったりしてやや困惑しました。
ストーリーは青春映画のようなものだと思ってましたが、これが中盤に凄い展開を迎えて驚きました。杉崎の代役の女性の言動や、映像と音声をずらす”やっちゃった感”な演出が、実は絶妙な伏線になっていたのが驚きです。ここは完全に見事にしてやられたとしか言いようが無いです。
初監督作品という事だけど、前半は何となく雑さや観にくさ気になりました。部員の個性付けが、序盤はいまいちのように感じます。それぞれの役割やポジションはもっと大袈裟でもいいのではっきりして欲しかったかな。それと撮影後のあの一連のシーンは長過ぎて完全に蛇足な気がしました。そこまであれこれ説明しないと駄目な訳でもないと思うのだけど。いっそばっさり削除して欲しかったな。
ラストの本当に最後のあのカットだけど、あれは解釈によってはかなりゾッとするんだけれど。何か特別意味があるのか、単に素直に見ればいいのか。これ、ジャンル的は軽いホラー? そういう風に見てしまうと、そうとしか見えなくなってしまうな。
展開といい演出といい、良く練られた映画だと思います。傑作ではないにしろ、次回作以降も十分に期待できる力作です。
オススメ度は5−。若干変則的な展開を見せるものの、この脚本は相当面白いです。見られる映画館は限られているけれど、可能であれば是非見て欲しいです。
Posted: 6 月 11th, 2011 under 2011, 映画.
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