ブラック・スワン
ニナは「白鳥の湖」の主役に抜擢されるものの、その役は従来と異なり白鳥と黒鳥の両方を演じなければならないという非常に難しいものだった。生来の臆病さや繊細さのため、白鳥としては理想的だったが黒鳥にはまるで不向きだった。開演初日が近付く中、ニナはせっかく手にした主役の座を失う事に怯えながら、自分の殻を破れない事に悩み、精神的に追い詰められていく。
主演はナタリー・ポートマン。
バレリーナが憧れの主演舞台に向かって奮闘するサクセスストーリーかと思いきや、非常にホラー寸前の恐ろしい展開で、また各登場人物の個性と生々しい立ち回りに圧倒される内容でした。
主人公であるニナは精神的に追い詰められるあまり、現実との境目が薄くなり幻覚を見るようなシーンが多々あります。ただ、どれが幻覚でどれが現実なのか明言しないシーンもあり、またニナには自傷癖があるせいで、余計におどろおどろしい雰囲気が作り出されています。この終始徹底された独特の世界観には、ただただ圧倒されるばかりでした。正直なところ、その圧倒された感と現実との境目の薄い演出での怖さが前面に出過ぎている気がしないでもありません。
登場人物もアクの強い個性的な人ばかりで、ニナが本当に地味に見えてしまいます。実際のバレエの世界は知らないものの、華やかさの裏側はこうなっているのか、と妙な説得力さえ感じてしまいました。しかし、ここまで限りなくサイコホラーに近い脚本というのも相当なものです。本当にこういう都市伝説があっても違和感が無さそう。向こうの言い方だとフォークロアだったかな。
オススメ度は5−。少々インパクト頼りな気もしますが、それだけ緊張感に満ちた内容になっています。ただ、性的な描写も少なくないので、一緒に観に行く人選は考えた方が良いでしょう。
Posted: 5 月 14th, 2011 under 2011, 映画.
Comments: none
Write a comment