フローズン・リバー
夫に蒸発されたレイは、新居の購入費用は元より二人の息子を育てるための生活費にすら窮していた。
ある日、ふとした偶然から蒸発した夫が捨てた車を発見する。車を持っていたのは保留地に住むモホーク族のライラという女性。彼女はこの車を使い、カナダからアメリカへ密入国をさせる仕事をしていた。
直近でお金の必要なレイは、ライラと協力し密入国の仕事に自らの手を染める。
国境沿いの町で実際に行われている密入国の問題を扱った本作。これと同様の犯罪は実際に行われているそうです。
互いにまとまったお金が必要なためあえて犯罪行為に手を染めるレイとライラ。この女性二人は仕事上の相棒としてやっているというよりは、必要に迫られて仕方が無く手を組んでいるという印象でした。互いにお金が必要な背景があり、レイ側は夫の蒸発と家族の不仲、けれどライラはなかなか背景が見えて来なくて、政治的に特殊な扱いの民族という事もあり、序盤はややミステリアスな印象を受けました。
初めこそは完全にお金絡みのドライでギスギスした関係だけど、徐々に家族の事で共感する点があったのか、そこからはまるで正反対の終わり方をしました。けれども、話の流れからすれば妥当な展開なのかもしれません。
レイの息子のT.Jも、大筋に関わっている訳ではないのだけれど、何かと目を離せない立ち位置でもあります。作中では頻繁にレイと対立するのだけれど、個人的にはT.Jは蒸発した父親の代わりになろうと頑張っているのだけれどそれをレイに認められなくて苛立っているのかなと思いました。T.Jの心理描写も目を離せない部分だと思います。
オススメ度は4+。上映数が少なくて見る機会を作るのは難しいかもしれませんが、是非ともおすすめしたい一品。生活苦から犯罪に走らざるを得ないやりきれなさと、女二人の共感する過程が実に絶妙です。
Posted: 3 月 21st, 2010 under 2010, 映画.
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