さまよう刃
建築士の長峰重樹は娘の絵摩と二人暮しをしていた。ある日、絵摩は河川敷で遺体として発見される。突然の死に憔悴する長峰は、しきりに捜査状況を訊ねながらも断られるのを繰り返していた。そんなある日、長峰の自宅に留守番電話が録音される。それは娘を殺した犯人の名前と住所を告発する内容だった。
原作は東野圭吾の同名の小説。
復讐と少年法をテーマにした物語で、主人公の長峰は娘を殺した犯人が少年である事で自ら手を下そうとし、警察はそれを阻止しようとする展開でした。
正直な所、題材が題材だけあって、見終わった後も気分が落ち込むような内容です。幾分ソフトにはしているけれども、見る人によってはかなりショッキングだと思います。
脚本ですが、やはり映画の尺に収めるためか妙にすっ飛ばしたりする所が多々あり、ちょっと展開としては繋がりが悪いかなあと思いました。
役者陣の演技は幾つか気になったところも。長峰役の寺尾聰は、序盤の復讐を決意する所までは良かったんですが中盤以降は妙に心理状態が希薄な印象があります。もっと焦りとか怒りとか必死さとか、一切感情らしいものが無い。達観しているにしても、もうちょっと何かあっても良かったのではないのかなあと思います。そのせいで、結末に続く結論を出したタイミングも今一つ首を傾げてしまいます。
警察側では、伊東四朗の演じるベテラン刑事は終始達観していてすれた感じの人柄がとてもよかった。それと対比するように、若い刑事の織部を竹野内豊ですが、序盤の苦悩する姿は警察としての役目を果たしていないような気がしている葛藤をうまく出せていたと思います。ただ、これも中盤になると突然とおとなしくなっていくのが疑問。急に達観した訳でもないだろうし、隠し事をするにしても焦りとかが薄い気がします。何か心境の変化があるのなら、切っ掛けになるそれらしいシーンも挟んでも良かったのではないかと。
オススメ度は4。うまくまとめた良い映画ですが、いかんせん題材が重過ぎます。見る時は状況などをちょっと考えてから行った方が良いと思います。
Posted: 10 月 17th, 2009 under 2009, 映画.
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