Lazy Bear

Categories

Archive

Site search

Feeds

Meta

真夏のオリオン

太平洋戦争末期、沖縄へと航路を進めるアメリカ海軍の補給艦隊を日本海軍の潜水艦4隻は待ち受けていた。しかし次々と防衛線を突破され、最後に残ったイ-77は補給艦2隻を撃沈するも駆逐艦と交戦する事になる。

主演は玉木宏。その脇に堂珍嘉邦などの変わった配役があったりします。

今年も戦争映画の季節がやってきました、という訳で観に行った本作ですが。
真夏のオリオンというのは劇中に出て来る、音楽のタイトルと、舞台となっている海域の朝方に見られるオリオン座の両方にかかっているようです。その楽譜が戦後に人の手を渡っていくという冒頭で、そこからかつての海戦の話に入っていきます。

良く日本の戦争映画は変なバイアスかかっていたり、事実考証が無茶苦茶だったり、斜め上の演出があったり、どうにも受け付けないものがあったんだけれど、この映画はそういったゴテゴテしたものが綺麗サッパリ切り捨てられていました。玉木宏が演ずる倉本艦長の恋愛模様がさらっとあるぐらいで、それ以外の人物相関は必要最低限になっています。その反面、潜水艦と駆逐艦の海戦は、予想外に奥深く迫力があって見応えがありました。機雷による物量で圧倒する駆逐艦の攻撃と、限られた魚雷による一撃必殺の潜水艦、これは相当なものです。

時代背景が全然見えず、漠然と末期なんだなと感じさせる程度だったのはちょっと物足りなかったです。もう少し日本は追い詰められて後が無いという所が欲しかった。この防衛線を突破されたらどうなってしまうのか、その程度はあっても良かったのに。

機関長役で吉田栄作が出ていました。「ミッドナイト・イーグル」以来ですが、やはり渋く男臭い演技で素晴らしかった。これからの路線がしっかり決まっている感じで、目立ちすぎず目立たなさ過ぎず、貫禄も感じられます。

一点だけ気になったのは、予告編でも出ていた楽譜の入った空き瓶が海面に浮かんでくるところ。これ、正直有り得ないと思います。潜水艦が軋むほど危険な深海から一気に浮上したら、ビンの中の気圧が急上昇してコルクが抜けるかビンそのものが割れるはずだから。もっともこれが無いと話の冒頭からこけちゃうんだけれど、なんか結果ありきでやらかしてしまった脇の甘さを感じます。

オススメ度は4−。意外に良く出来た映画だと思います。戦争映画というよりは海戦映画といった内容です。ちょっと潜水艦の仕組み等が分からないとついていけないかもしれないですが。

Write a comment