Lazy Bear

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クライ・マッチョ

かつてのロデオスターだったマイクも、今は落ちぶれ孤独に細々とした生活を送っていた。
そんなある日、かつての上司から自身の息子について頼み事をされる。彼の元妻はメキシコへ息子を連れていったのだが、元妻は息子の養育を放棄し酷い生活をさせているという。そこで息子を、誘拐という形になっても構わないから、是非とも取り返してきて欲しいというものだった。
明らかな犯罪行為にマイクも気乗りはしなかったが、彼には大きな恩があるため引き受けるしかなかった。


監督、主演はクリント・イーストウッド。
メキシコから上司の息子を連れ戻すロードムービー。母親の男性関係はたちが悪く、息子も息子で手癖が悪くマイクと衝突もするため、どうして命の危険を冒してまでこんな気に入らないガキを連れ帰らなきゃいけないんだ、とぼやく序盤。
それでもお互い徐々に打ち解け合いながら理解を深めていくのだけれど、母親からの追手や絵に描いたような悪徳警官やら、その道中は平穏無事とはかなり程遠いものです。そんな中で食事やら何かと世話をしてくれるような親切な人のありがたみが染み入る訳です。
マイクは昔の栄光を未だ引きずっている気配があって、ちょくちょくアレな言動を取ります。同時に、今の自分は老いさらばえ何も残っていない自覚もあって、無謀な行動を進んで取るようなこともありません。何となく現実とのすり合わせをずっと続けているのかな、とも思いました。クリント・イーストウッドは既に御年91歳と監督と役者をやっているのが信じられないほどの高齢、かつては古き良き強いアメリカの男を体現していたけれど年を取ってからは人間の内面を描く傾向にあります。そのせいか本作の主人公も、自分とどこか重ねて演じているように思いました。もっとも、現実のクリント・イーストウッドはマイクのようにまるで落ちぶれてなどいないのだけれど。

オススメ度は4。老人と少年の交流を描いたロードムービーであって、特にスリリングなシーンや派手なアクションはありません。そのため今のイーストウッドが作る世界観が好きな人向けの作品です。

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