イーグル・アイ
コピー店の社員であるジェリーは、家賃にも事欠きながら無為な日々を過ごしていた。ある日、自分とは双子の兄であるイーサンが急死したことを告げられる。自分とは対照的に何でも万能な兄には劣等感を抱いていたジェリーだったが、その死にはショックを隠せなかった。
そんな中、自宅に戻ると何故か大量の荷物が届いている。戦闘機のマニュアルや大型ハンドがンといった、どれも自分には心当たりの無いものばかり。状況を把握し切れていない中、イーサンの携帯に謎の女性から着信が入る。
主演は若手実力派のシャイア・ラブーフ、製作総指揮にはスティーヴン・スピルバーグ、監督は「ディスタービア」の時にタッグを組んだD・J・カルーソー。
主人公ともう一人のレイチェルという女性が、謎の女性アリアの電話に振り回されるアクションもの。アリアはどういう訳かあらゆるネットワーク、交通機関、メディアをジャックし、無理難題を吹っかけ主人公達を時には追い詰め時には支援し、自分の命令に従わせるという不思議な行動を取ります。パッと見の印象としては、「エネミー・オブ・アメリカ」のような、高度な技術による監視社会の危険性の啓蒙かなあと感じました。ネタバレに言及するため詳しくは先を記載しませんが、それも含めてネタ的には非常に有り触れたものです。大抵の人は中盤でアリアの正体には気づくでしょう。
脚本はさほど目立った面白さや斬新さも無く、良くも悪くも無難な内容です。ただ、シャイア・ラブーフの演技力はなかなか目を見張るものがあるため、適度な緊張感が最後まで持続し飽きさせなかったのは良いと思います。最近はちょっと私生活がアレなので演技が荒れてるかと思ったけれど、それは全くの杞憂でした。
話は変わり、子供の頃にテレビでスピルバーグの映画の「激突」というのを見たんですが。これも主人公が謎の人物に理不尽に襲われるという、本作とコンセプトが似通ったものです。「激突」はあまりに理不尽かつ謎めいているため、万人にはオススメ出来ないマニアックな映画でした。けれど、子供の頃の僕はテレビにかじりつき本当に目が離せなくなるくらいの緊迫感や迫力があり、今でもこれは名作だと思っています。
「イーグル・アイ」はこのコンセプトを現代風にアレンジしたような気もしなくもなかったんですが、やはり複雑化し過ぎて別物、別ジャンル、そもそも方向性も結末も違うなあという結論に至りました。スピルバーグは昔のように、投げっ放しでカルト的な映画を作ってはくれないのか。ちょっとそれだけ残念です。
オススメ度は4−。まあよくある無難な選択肢です。全く持って面白くも何とも無いというものではないし、シャイア・ラブーフを見るだけの価値は十分あるので、他に特に見たいものが無ければ悪くは無い映画とも思います。
Posted: 10 月 18th, 2008 under 2008, 映画.
Comments: none
Write a comment